キャッシュレス社会は屋台から!?“後進国・日本”の巻き返し


福岡市名物の屋台でいま、QRコードを利用したキャッシュレス決済の一大実証事業が繰り広げられている。楽天やLINEが提供するスマートフォン(スマホ)決済サービスだけでなく、中国で5億人以上が日常的に利用する「アリペイ」に対応する店舗もある。高島宗一郎市長は「地方都市から新しいおカネの流れを作る」と宣言。公共施設や商業施設や屋台、タクシーなど、さまざまな場面でスマホ決済が行える場所を増やしていく計画だ。

コード決済の特徴は、「おサイフケータイ」で使われるFelica(フェリカ)などの近距離無線通信規格に依存せず、アプリさえ取得すれば端末の仕様にかかわらず利用できる手軽さにある。

店舗側の負担が少なく、決済だけでなく、送金や割り勘機能など、クレジットカードにはなかった機能もある。客が自分のスマホにコードを表示し、店舗側の端末で読み取る方式と、店頭に掲示されているコードを客側が読み取るタイプの大きく二つに分かれるが、すでにネット関連企業はこうした決済手段を通じて顧客を囲い込み、自社の「経済圏」を確立しようと、機能やサービスで競い合う。

こうした動きに呼応して、利用割引やポイント還元、決済にかかる時間の短縮など、すでにキャッシュレス決済のメリットを享受する層が広がり始めている一方で、世界的に見ると日本のキャッシュレス化はまだまだ進展していないのが実情だ。最も普及が進む韓国のキャッシュレス決済比率はすでに9割に達するほか、その他の先進国でも4割から8割に上るのに対し、日本は2割にとどまっており、世界的にも珍しい現金主義の国といえる。


こうした世界の潮流に取り残されればキャッシュレス後進国となりかねない日本。国も現状に強い危機感を抱いている。キャッシュレス決済の本格的な普及へ向け口火を切ったのが経済産業省がこの4月にまとめた「キャッシュレス・ビジョン」である。この報告書では、2025年に向けてキャッシュレス決済比率4割という野心的な目標を掲げ、利便性や安心感向上へむけた環境整備が必要と指摘した。この7月には、産官学、オールジャパンの推進協議会も発足。QRコードの標準化やキャッシュレス支払時におけるペーパレス化をはじめ、さまざまな利用者や事業者がそのメリットを享受できる仕組みづくりを急ぐ考えだ。(M.K)


(出所)ニュースイッチ

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